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がん(癌・悪性腫瘍)の障害年金認定基準と認定要領

がんを含めて障害年金を受給するためには、国に対して障害年金の請求を行い、国の専門家(専門用語で「認定医」といいます。)による審査を受けこれをパスしなければなりません。審査を受けるということは、当然公正な審査基準というものがなければ不公平な結果になってしまい、場合によっては国民共有の財産ともいえる年金が不適切に支払われてしまう可能性もあります。

そこで、実際に障害年金の審査を行う際には、国でさまざまな病気やケガを18種類に分類し、それぞれのカテゴリー毎に原則3段階(重い方から1級〜3級)からなる判断基準(専門用語で「認定基準」といいます。)を設けて公正な審査が行われるようになっています。

具体的な分類としては、

第1節 眼の障害、第2節 聴覚障害、第3節 鼻腔機能の障害、第4節 平衡機能の障害、

第5節 そしゃく・嚥下(えんげ)機能の障害、第6節 音声又は言語機能の障害、

第7節 肢体の障害、第8節 精神の障害、第9節 神経系統の障害、第10節 呼吸器疾患による障害、

第11節 心疾患による障害、第12節 腎疾患による障害、第13節 肝疾患による障害、

第14節 血液・造血器疾患による障害、第15節 代謝疾患による障害、第16節 悪性新生物による障害

第17節 高血圧症による障害、第18節 その他の疾患による障害

以上の18種類となっています。

この中でがん(癌)は、障害年金の認定基準では、第16節の悪性新生物による障害というカテゴリに分類されます。具体的には、大腸癌、乳癌、卵巣癌、子宮癌、子宮頸癌、舌癌、食道癌、胃癌、肺癌、直腸癌、膵臓癌、肝臓癌、腎臓癌、膀胱癌、白血病、骨肉腫、悪性リンパ腫、脳腫瘍等がん(癌、悪性腫瘍)全般が対象とされています。

障害年金の認定にあたり、悪性新生物(がん)による障害の程度をどのように審査するかは、医学的には次のような観点を中心に行います。

組織所見とその悪性度、②一般検査及び特殊検査、画像検査等の検査成績、③転移の有無、④病状の経過と治療効果

これらのことを参考にしつつ、日々の具体的な日常生活状況なども参考にし、最終的には医学的な面日常生活の活動状況面を合わせて総合的に認定を行います。また、がんと認定された時以後少なくとも1年以上の療養が必要とされていることとされています。

悪性新生物(がん)による障害の認定基準

とても分かりにくい表現になりますが、以下のとおり3段階の基準が設けられています。

 1級 身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる

    状態であって、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの

 2級 身体の機能の障害又は長期に渡る安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状

    態であって、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必

    要とする程度のもの

 3級 身体の機能に、労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害

    を有するもの

 

悪性新生物(がん)による障害の認定要領

上記の認定基準というものをベースに、より具体的な判断基準を説明したものが認定要領といい、下記の通り5つの要点が定められています。

1.悪性新生物(がん)は、全身のほとんどの臓器に発生するため、現れる病状は様々であり、それに

      よる障害も様々であること

2.悪性新生物(がん)の検査には、一般検査の他に、組織診断検査、腫瘍マーカー検査、超音波検

      査、X線CT検査、MRI検査、血管造影検査、内視鏡検査等があること

3.悪性新生物(がん)による障害は、次のように区分すること

      ア 悪性新生物(がん)そのもの(原発巣、転移巣を含む。)によって生じる局所の障害

      イ   悪性新生物(がん)そのもの(原発巣、転移巣を含む。)による全身の衰弱又は機能の

        の障害

      ウ 悪性新生物(がん)に対する治療の効果として起こる全身衰弱又は機能の障害

4.悪性新生物(がん)による日常生活における具体的な障害の程度を分類したもの

  (専門用語で「一般状態区分表」といいます。)は次のとおりであること

      ア 無症状で生活でき、制限を受けることなく、発病前と同等にふるまえるもの

          *要は、正常であるということです。

      イ 軽度の症状があり、肉体労働は制限を受けるが、歩行、軽労働や座業はできるもの

          例えば、軽い家事、事務など

      ウ 歩行や身のまわりのことはできるが、時に少し介助が必要なこともあり、軽労働はできない

            が、日中の50%以上は起居しているもの

      エ 身のまわりのある程度のことはできるが、しばしば介助が必要で、日中の50%以上は就床し

           ており、自力では屋外への外出等がほぼ不可能となったもの

      オ 身のまわりのこともできず、常に介助を必要とし、終日就床は強いられ、活動の範囲がおお

            むねベッド周辺に限られるもの

 

5.   悪性新生物(がん)による障害年金の具体的な例示は以下のとおりとする

 1級 著しい衰弱又は障害のため、一般状態区分表のオに該当するもの

 (オ)身のまわりのことが出来ず、常に介助を必要とし、終日就床を強いられ、活動の範囲が概ね

    ベッド周辺に限られるもの

 2級   衰弱又は障害のため、一般状態区分表のエ又はウに該当するもの

 (エ)身のまわりのある程度のことは出来るが、しばしば介助が必要で、日中の50%以上は就床し

    ており、自力では屋外への外出などがほぼ不可能となったもの

 (ウ)歩行や身のまわりのことは出来るが、時に少し介助が必要で、軽労働は出来ないが、日中の

    50%以上は起居しているもの

 3級   著しい全身倦怠のため、一般状態区分表のウ又はイに該当するもの

 (ウ)歩行や身のまわりのことは出来るが、時に少し介助が必要で、軽労働は出来ないが、日中の

    50%以上は起居しているもの

 (イ)軽度の症状が有り、肉体労働は制限を受けるが、歩行・軽労働・軽い家事・事務などは出来る

    もの

がんに限らず、障害年金の認定基準と認定要領は独特の難解な言い回しと、障害年金の審査上重要とされる検査数値と、医療機関が治療上重要視している検査数値が必ずしも一致しているとは限らないため、自分の症状が障害年金を受け取れるような状態にあるのを判別するのは、大変難しいと言えます。

こうした事から、少しでも障害年金に該当する可能性があるのでは?とお思いになった方は早期のうちに専門家による障害年金受給診断チェックを申し込まれることをお勧めします。

 

実際にがん(卵巣癌)の障害年金の受給事例は以下をご覧ください

発病からご依頼までの状況

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下腹部の違和感や痛みがあったため、念の為婦人科を受診。検査の結果卵巣の腫れを指摘され、精密検査のため他院への紹介状が出される。

診察、検査の結果卵巣がんと診断され子宮頸がんの疑いを指摘されたため、抗がん剤による治療が開始される。

治療の副作用などもあり、筋力の低下や疲れやすさのため、日常生活も困難を伴うようになる。治療費など今後の生活のこともあり、がんで障害年金がもらえるのかどうか知りたいとのことでご相談をいただきました。

ご依頼からの状況

初診日証明の取得サポート

がんの場合、最初から「がん」という診断名がつかないケースも多くあります。今回のケースでは、最初に体調不良を訴えて受診した婦人科で初診日の証明を作成していただきました。

診断書作成のサポート

がんの場合、複数の臓器に症状が現れている場合等、診断書をどの病院または診療科で作成するかが難しいケースも見受けられます。

今回のケースでも複数の医療機関を同時並行して受診しており判断が難しかったため、ご本人からの丁寧なヒアリングに基づき、治療状況の詳細推移を把握しているのがどこの医療機関を慎重に精査しました。

その後、がん治療の影響による具体的な身体症状などをしっかりと診断書に落とし込んでいただくため、書面による主治医の先生へお願い事項を作成し、詳細なしっかりした診断書を作成していただくことが出来ました。

申立書の作成

ご本人から日常生活状況のヒアリングを実施し、年金審査の際、診断書では伝わりにくい具体的な身体症状や重要ポイントを詳細に記述。特に、治療方法による身体への負担には十分に留意し、詳細な申立書を作成しました。

 

審査結果

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書類提出後、照会事項が入りましたが、当センターより適切な応対説明を行い、約3カ月後、無事に障害基礎年金2級に認定され年間約78万円の受給となりました。

 

 

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