統合失調症の障害年金-10(事後重症)
1.発病からご依頼までの状況
ご家族の方を亡くし、そのショックが大きかった為か、幻聴や幻視が出る等、身体に異変が生じるようになりました。最初の頃はそういったことを、お酒を飲むことでなんとか紛らわせようとしていましたが、次第に家事をすることもできなくなり、リストカットをしてしまうほど精神的に追い詰められていきました。
何ヶ所か病院を受診し、最終的に統合失調症と診断されるまでには4年ほどかかりました。
統合失調症により日常生活に支障が出ている場合、障害年金を受けられる可能性があると知り、ご主人が当センターへ来所されました。障害年金の全体の手続きの流れをご説明した後、仕事や家事のサポート等で多忙でもあるため、手続きの代行をお願いしたいとご依頼を頂きました。
2.ご依頼からの状況
2-1 初診日証明の取得サポート
初診の病院は既に廃業しており、証明書を取得することができない為、二番目に受診をした病院で初診日証明書を取得しました。詳しく調べたところ、前の病院からの紹介状があることが判明し、そちらで初診日の確認が可能であったため、初診日証明書に代わる参考資料として、初診日証明書が添付できない申立書とともに提出しました。
2-2 診断書作成のサポート
統合失調症で障害年金の申請を行う場合、一般的な診断書ではなく、精神用という障害年金専用の診断書を使用し作成していただく必要があります。この精神用の診断書は、記載内容が曖昧な点もあり、具体的な日常生活上の様子を詳しく主治医に伝えるのが難しい面もあると考えられます。
こうしたことから、面談の際には現在の症状について丁寧なヒアリングを行い、その内容や作成時の注意点について記載した書面を診断書に添付の上、ご本人様を通じて病院へ診断書の作成を依頼しました。
2-3 申立書の作成
発病から既に10年以上経っており、また、幾つかの医療機関に通院していた為、ご本人の記憶も曖昧になっている部分がありましたので、ヒアリングさせて頂いた内容と診断書の内容の整合性に注意しながら、的確な申立書を完成させました。
3.審査結果
提出から約3か月で障害基礎年金2級に認定され、お子様2人分の加算金も含め、年間1,227,900円の受給につながりました。
今回のケースのように、初診の病院が廃業している場合等、そこで証明書を取得できない場合、次に受診している病院より初診日の証明書を取得することとなります。但し、それだけでは本当の初診日を証明することはできない為、参考になる資料や物証が必要となります。
幸い、今回のケースは次の病院へ紹介状が交付されており、それが初診日を証明する貴重な資料となりましたが、紹介状がない場合は、初診日が記載されている診察券や領収書等、代わりのものを探す必要があります。
今は障害年金の申請を考えていなくても、将来的に申請を考える時が来るかもしれません。そのようにならないのが一番ですが、いざという時に困らないよう、初診日の証拠になりそうなものは大切に保管しておくことをお勧めいたします。