障害基礎年金2級を受給中、腎機能障害を発症し人工透析となったため改めて障害年金の手続きを行い、障害厚生年金1級に認められたケース
慢性腎臓病の障害年金(事後重症)
1.発病からご依頼までの状況
以前も他の傷病で申請のお手続きをサポートさせていただき、基礎年金2級を受給されていらっしゃる方から、腎臓機能が悪化して人工透析になってしまったが級が上がるのでしょうか、とご相談がありました。
体調が悪く入院されているご本人に代わり、ご家族が相談にいらっしゃり、透析になるまでの経緯をお聞きしました。
首にしこりがあることに気づき近くの内科を受診したところ、甲状腺がんの疑いがあるとのことで大学病院の耳鼻科を紹介され受診。甲状腺がんとの診断を受け治療をしていく中で、クレアチニンの数値が高くなっていることを指摘されました。
耳鼻科での治療と併せて腎臓内科にて腎臓病の治療をしましたが症状は悪化したため、人工透析をすることになりました。
2.ご依頼からの状況
2-1 初診日証明の取得サポート
手続を進めるにあたり、今回の疾病についていつが初診日になるかを検討しました。
クレアチニンの数値が高くなったことを指摘されたのは耳鼻科でしたが、要精査と告げられ検査・診療をしたのは腎臓内科だったため、腎臓内科に初診日証明の作成を依頼しました。
2-2 診断書作成のサポート
現在透析をされている病院にて診断書を作成いただきました。記載漏れなどがないように、診断書の注意箇所や記載が必要な箇所を分かりやすく記した参照資料を作成し、ご本人を通して主治医に渡していただきました。
2-3 申立書の作成
首のしこりに気づいた頃から透析に至るまでの流れについては、相談時にご家族に詳しく伺っていました。しかしながら、その時々の症状については詳しく伺っていなかったため、改めて電話にてご本人から詳しく伺いました。
3.審査結果
書類提出から2か月を経過した頃、審査機関から初診日について追加の指示(専門用語で、「返戻」といいます。)がありました。その指示内容は、耳鼻科通院の時にクレアチニンの数値の高さを指摘されていたとの記載があったため、紹介元である耳鼻科でも初診日の証明書を作成するようにとのことでした。
すぐに弊所から耳鼻科宛てに証明書の作成を依頼し、作成の際に「腎臓機能の障害を認めた日」と「クレアチニンの数値」の明記も併せてお願いしました。そして、出来上がった証明書を速やかに日本年金機構へ提出しました。
今回のように、障害年金の請求に必要な書類を全て揃えて提出し、審査に入った後、日本年金機構から書面による問い合わせ(専門用語で、「照会事項」といいます。)が入ることがあります。この返戻処理と言いますが、返戻の内容は障害年金受給の可否を大きく左右するものも少なくありません。そのような難しい対応が必要な時にも社会保険労務士に手続きを任せておけば、安心して対応することができます。
今回のケースでは結果が出るまでに7カ月の時間を要しましたが、無事に厚生年金1級の受給が決定しました。
障害基礎年金にはなかった配偶者の加算も加わるため、障害基礎年金2級の額の3倍近い金額を受給できることになりました。