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初診日の特定を複数資料により行い、慢性腎不全で障害基礎年金2級に認定、年間約100万円の受給につながったケース

慢性腎不全(人工透析)の障害年金(事後重症)

1.発病からご依頼までの状況

相談者は若い頃から糖尿病を患っており、20年以上にわたり食事療法や内服治療などを続けてきました。しかし病状は次第に進行し、数年前から慢性腎不全を発症。現在では週3回、定期的に血液透析を受ける生活を余儀なくされています。

透析後は強い倦怠感に襲われ、長時間の活動が困難で、横になって休まざるを得ない日々が続いています。加えて、片腕にシャントを造設しているため重い荷物を持つことができず、ふらつきや歩行困難も見られるようになりました。

ご家族と同居されており、母親と共に暮らしながら育児も担っていますが、透析の通院と家事・育児の両立は極めて困難な状況で、日常生活全般において家族による支援が不可欠な状況でした。

2.ご依頼からの状況

初回の無料相談の際、最も大きな課題となったのは「初診日の証明」をどうやって行うかでした。相談者は、糖尿病の治療を開始してから現在に至るまで、複数の医療機関を転々としており、初診日を特定するための情報が断片的でした。

私たちは、本人とのヒアリングに基づき過去の通院歴を一つひとつ丁寧に洗い出し、受診履歴が記録されている可能性のある全ての医療機関に照会をかけました。その結果、初診日を特定する有力な資料を最終的に入手することができました。

同時に、審査機関である日本年金機構による初診日の判断に関する行政通達を入念に精査し、上記資料に基づく初診日の判断が的確に行えるかどうかを慎重に検討するとともに、初診日に関する独自の意見書を作成し添付しました。

診断書の作成依頼時には、透析治療の負担や日常生活への支障を具体的に記載してもらえるよう、医師との連携も慎重に行いました。また、「病歴・就労状況等申立書」には、透析後の疲労感や育児・家事の困難さ、家族の支援状況など、実生活に即したエピソードを盛り込み、審査機関に相談者の状況が伝わるよう工夫しました。

3.審査結果

障害年金の申請書類一式を提出してから2か月ほどで、慢性腎不全により障害基礎年金2級の認定を受けることができ、年間約100万円の支給が決定しました。

経済的な支援が得られたことで、相談者は治療と子育ての両立に少しずつ希望を持てるようになり、現在も透析を受けながら家族と協力して日常生活を営んでいます。