慢性腎不全で人工透析導入後に障害基礎年金2級を受給|初診日の特定に苦慮しながらも年間約84万円が認定された事例

傷病名:慢性腎不全
決定した年金の種類と等級:障害基礎年金2級
年間受給額:約84万円
請求の種類:事後重症請求
受給決定までの期間:約2か月
慢性腎不全は、症状が徐々に進行することが多く、初期段階では高血圧や倦怠感などの症状のみで経過観察となるケースも少なくありません。そのため、障害年金請求では「どの受診日を初診日とするのか」が大きな争点となることがあります。
今回ご紹介するのは、健康診断で高血圧を指摘されたことをきっかけに腎機能障害が判明し、その後、人工透析導入に至った40代会社員のケースです。慢性腎不全と明確に診断される以前から通院歴があったため、初診日の整理に苦慮しましたが、必要書類を丁寧に整えたことで、障害基礎年金2級の認定につながりました。
1.相談時の状況
相談者は会社員として勤務を続ける中、数年前の健康診断で高血圧を指摘されました。その後、かかりつけ医を受診した際に腎機能障害の疑いがあると説明を受け、定期的な通院を開始しました。
しかし、当時は「慢性腎不全」と明確に診断されていたわけではなく、投薬や経過観察が中心であったため、ご本人も病状の重大性を十分に認識できていない状況でした。徐々に腎機能は低下し、専門医療機関で精密検査や継続的な治療を受けるようになります。
その後、慢性腎不全の進行により人工透析が必要となり、シャント造設術を受けたうえで透析治療が開始されました。透析導入後は週に複数回の通院が必要となり、透析後の強い疲労感や体力低下に悩まされるようになります。
仕事についても、職場の配慮を受けながら勤務を継続していましたが、通院時間の確保や体調管理が大きな負担となり、以前と同じような働き方を続けることが難しくなっていました。
障害年金制度について調べる中で、「人工透析は障害年金の対象になる可能性がある」と知ったものの、どの病院を初診として扱うべきか分からず、不安を抱えた状態で当事務所へご相談いただきました。
2.相談から請求までのサポート
今回の障害年金請求で特に重要となったのは、「初診日の特定」でした。
慢性腎不全の場合、健康診断や高血圧治療をきっかけとして腎機能低下が見つかるケースが多く、慢性腎不全と正式に診断された日と、実際の初診日が異なることがあります。そのため、障害年金の請求では、どの受診が障害の原因となった傷病に関連する受診だったのかを慎重に整理する必要があります。
そこで当事務所では、過去の通院歴や紹介状、検査内容などを一つひとつ確認し、腎疾患との関連性を丁寧に整理しました。そのうえで、初診医療機関へ受診状況等証明書の取得依頼を行い、障害年金制度上の初診日を適切に証明できるようサポートしました。
また、人工透析を受けている場合でも、診断書の内容が不十分だと障害状態が正確に伝わらないことがあります。そのため、透析頻度、日常生活への支障、就労への影響、透析後の体調不良などについて、医師へ具体的に伝えるための整理も行いました。
さらに、病歴・就労状況等申立書では、
- 高血圧指摘から透析導入までの経過
- 腎機能低下による症状の変化
- 通院状況や治療内容
- 就労継続の困難さ
- 透析導入後の日常生活への影響
などを時系列で整理し、審査機関へ実情が伝わりやすい内容となるよう作成を進めました。
3.審査結果
申請から約2か月後、慢性腎不全による障害基礎年金2級が認定され、年間約84万円の受給が決定しました。
慢性腎不全による障害年金請求では、「人工透析を受けているから必ず認定される」というわけではなく、初診日の整理や診断書内容の充実が非常に重要となります。
今回のケースでは、初診日が不明確になりやすい状況でしたが、通院歴や診療内容を丁寧に整理し、必要書類を適切に準備したことで、障害状態をしっかりと審査機関へ伝えることができました。
現在も人工透析を継続しながら生活されていますが、障害年金を受給できたことで経済的な不安が軽減され、治療と体調管理を優先しながら生活を送られています。


